誕生色(9月ver)
≪詳細≫
月1で読めるもので誕生石のような有名なものではない何かを書きたいと思って
書きました。
およそ5~10分くらいになります。
人称変更可
語尾改変可
≪関連作品≫
『誕生色シリーズ』※全12話
≪あらすじ≫
ここは少し変わったお店のよう…
さて、あなたは何をお探し?
≪登場人物≫
店の店主の一人語りで、お客様目線も少しあります。
お声は変えても変えなくても大丈夫です。
絵本を読むようなイメージで読んで頂ければと思います。
≪ 色というのは、私たちにとって、様々な印象を与える欠かせないもの ≫
誕生色(たんじょうしょく)
それは、バースデーカラーとも言うが
誕生日ごとに定められたラッキーカラーのこと。
誕生石や誕生花などより、知名度はないかもしれない。
でも、ちゃんと366日すべてに決められていて、占いでも用いられる。
ここは、そんな色とそれにちなんだ物を取り扱う不思議なお店。
今月は十五夜で有名な中秋の名月ということもあって、月見のイメージにあったものが人気となっています。
ん?どうしました?不思議な顔をして。
どうして、この店には、時代も年齢もバラバラな人が来るのか?
それは、前回もお伝えしたように、とある境(さかい)にあるからですよ。
ここは生者死者に関わらず、ご来店のあるお店ですから。
訪れるためには、条件がありますが…
それは、またの機会に。
さて、本日もお仕事を始めましょうか。
お話している間に、気になるお客様を見つけたので。
「いらっしゃいませ、お客様。本日はどのようなものをお探しですか?」
話しながら見つけたお客様は、実は何度か来店されていて、何も買わずに帰られているお客様なんです。
「以前から、何かをお探しのようですが、よければお聞かせいただけませんか?」
お客様は、少し考え込んだ後に、お話してくださいました。
どうやら、お気に召すモチーフが見つからなくて、月ごとにご来店してくださっていたようです。
「お客様は、どのようなものを見つけたいのか、定まっていないということでよろしいでしょうか?」
少し考えて、お客様は頷きました。
「今回のご来店の目的は、どなたかにプレゼントですか?それともご自身へのご褒美のようなものをお探しですか?」
私の問いかけに、お客様は、悩みながら“多分、プレゼント“と答えてくれました。
【多分】という言葉が、気になりますよね。
でも、このお店にご来店されるお客様の中には、たまにいらっしゃるんですよ。
自分が何のために、お店に商品を探しに来ているのか、分からなくなってしまっている方。
それも今後、お話ししますね。
「プレゼントでもご自身へのご褒美でもぴったりなのが、こちらの恋路十六夜(こいじいざよい)という和の色で作られた鞄などいかがでしょうか。この色は、十六夜月(いざよいつき)の昇る夜空のような色ですが、山葡萄の色でもある。色合いとしては濃厚な深い紺で、夜が長くなる季節にぴったりな色となっております」
ご自身のお気持ちや、何をしようとしていたのか分からなくなっているようなお客様には、暗すぎず、でも、ご自身の心境に当てはまるような色をご提案させていただきました。
熱気あふれる情熱的な季節をすぎた、秋らしさも感じて頂けていたなら、私としては嬉しいですが。
お客様は、私の説明で、今回は手元に置いてみたいと思ったようです。
どうやら、お探し物は、ご自身へのものだったみたいですね。
ん?お代ですか?
今回のお代は、少しだけ、オマケさせていただきました。
臨機応変に、お客様にあったお代をきっちりと頂くのが、私の仕事ですから。
さてさて、次は、どんな方へどんなお色にちなんだものをおすすめ出来るでしょう。
(少し間をあけて)
色にお困りの方は…そんなに多くはないかもしれませんが
ぜひ、当店をご利用くださいませ。
きっと、お役に立てると思いますよ。
何せ、最初に申し上げた通り、誕生日にも色はございますので。
出来れば、遠い未来でご利用頂きたいものですが…
人生の分岐点など、ここぞという時には、使ってしまうものですよね。
でも、ご来店だけなら問題はありませんから、いつでもお越しくださいませ。
またのご来店、おまちしております。
(おわり)
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