誕生色(8月ver)
≪詳細≫
月1で読めるもので誕生石のような有名なものではない何かを書きたいと思って
書きました。
およそ10分くらいになります。
人称変更可
語尾改変可
≪関連作品≫
『誕生色シリーズ』※全12話
≪あらすじ≫
ここは少し変わったお店のよう…
さて、あなたは何をお探し?
≪登場人物≫
店の店主の一人語りで、お客様目線も少しあります。
お声は変えても変えなくても大丈夫です。
絵本を読むようなイメージで読んで頂ければと思います。
≪ 色というのは、私たちにとって、様々な印象を与える欠かせないもの ≫
誕生色(たんじょうしょく)
それは、バースデーカラーとも言うが
誕生日ごとに定められたラッキーカラーのこと。
誕生石や誕生花などより、知名度はないかもしれない。
でも、ちゃんと366日すべてに決められていて、占いでも用いられる。
ここは、そんな色とそれにちなんだ物を取り扱う不思議なお店。
今月は、お盆ということもあって、お客様が少ないんですよね。
え?どうしてか?
もちろん、お客様が、帰省してしまうからですよ。
あなたと初めて出会った時に、ここは、ちょっと変わったお客様が多いと、最初に言ったのを覚えていますか?
このお店のある場所は、とある境(さかい)になるのですが…
ここでの仕事は、店主兼仕分け担当なんです。
おや…これはまた、タイミングのいいお客様がいらっしゃいますね。
「いらっしゃいませ。何をお探しですか?」
話しながら、店内を見渡し、とあるお客様に声を掛けることにしました。
そのお客様は、今では語り継がれるような軍服を身にまとっていました。
そして、私のお声がけに対して、浴衣を探しているとのこと。
「浴衣ですか。お母様への贈り物…でしょうか」
私の言葉に“なぜ分かったのか”と言いたげな目で見ていました。
「そのお姿…早くに家族と離れなければならなかった、ということでしょうから」
返答を聞き、納得したのか、改めて、浴衣をすすめてほしいと頼まれました。
浴衣の柄にこだわりなどはないそうなので、それぞれの歩んだ時代を色々聞き
おおよその年齢を検討し、おすすめすることになりました。
「浴衣をご希望とのことでしたので、私としては、得意分野です!」
なかなか、おすすめ出来ない和の色を使った商品をご案内できることにすごく、気持ちが高ぶってしまいましたが…
気を取り直して…
「夢見昼顔(ゆめみひるがお)という色で描かれた、昼顔という花をモチーフにした柄をメインに、生地としては、純白の白でよく映えるデザインになっています。いかがでしょうか」
夢見昼顔は、強い日差しに負けずに花を咲かす昼顔の花色。色合いとしてはソフトながら華やかさもある赤紫色で、白や水色など涼しげな色とも相性のよい色なので、今回のご依頼にはピッタリかと思います。
私の一通りの説明を聞いて、納得したように、その浴衣を買っていかれました。
ん?お代ですか?
もちろん、頂いております。
そこは、多少変更があったとしても、きっちり頂きますよ。
さてさて、次は、どんな方へどんなお色にちなんだものをおすすめ出来るでしょう。
(少し間をあけて)
色にお困りの方は…そんなに多くはないかもしれませんが
ぜひ、当店をご利用くださいませ。
きっと、お役に立てると思いますよ。
何せ、最初に申し上げた通り、誕生日にも色はございますので。
出来れば、遠い未来でご利用頂きたいものですが…
大切な人へ、想いを伝える手段が少ない時は、思わず使ってしまうものですから。
でも、ご来店だけなら問題はありませんから、いつでもお越しくださいませ。
またのご来店、おまちしております。
(おわり)
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