ひと夏の思い出に恋をして(男性ver)


≪詳細≫

とある企画に参加して書いたお話。

およそ5分くらいになります。

※画像:ミカスケ様、フリー素材の組み合わせ


≪関連作品≫

ひと夏の思い出に恋をして(女性ver)

ひと夏の思い出に恋をして(2人読みver)


≪あらすじ≫

とある夏の日、海に入っている女性を見かけ、咄嗟に声を掛けた。

「死んではだめだ」


≪登場人物≫

男性:ある日出会った女性に恋をする人。



海で出会い、花火を見に行き、二人で過ごした思い出。



僕は昔から色々なところに行くのが好きだった。

でも、ある時、それがもう叶わないと分かって絶望していた時に君に出会ったんだ。


絶望していて、何となく海を見たくなった僕は近くの海に足を運んだ。

誰もいないと思っていたのに

後ろ姿でも分かる小柄で立ち姿の綺麗な女性が海に入っているのを見つけて

咄嗟に声を掛けてしまった。


「死んではダメだ」


僕の声に彼女はポカンとした表情をしていて

とにかく海から離さないとと思って、手を取り必死に伝えた。

しかし、次の君の一言で、慌てることになる。


『死のうとしてませんから、安心してください』


それを聞いて、急に自分の行動が恥ずかしくなった。

すると、彼女は突然くすくすと笑い出した。


それから、別に君を疑ったわけじゃないけど

なんだか心配になって海に通うようになって、見つけた時は声を掛けていた。

途中で、探していたことがバレてしまって、気恥ずかしかった。


しばらくして、もうすぐ海岸近くで花火大会があることを思い出し

君に見に行っているか聞くと、家族で行っていると答えてくれた。

僕は、意を決して誘った。


「僕と一緒に行きませんか?」


断られる覚悟で誘ったけど、すんなり受けてくれて嬉しかった。

普段、花火大会に行っても、私服なのだけど、かっこつけたくて浴衣を買った。


当日、少しでも落ち着いて見られるようにと、穴場になる場所へ案内した。

君の浴衣姿は、本当に美しくて、花火を見ながら見惚れていた。


夜空に次々と咲く色とりどりの花火。

なんだか、視線を感じて君の方を向いた時、そういえば言ってなかったと思い出した。


「浴衣姿、素敵ですね」


本当に素敵だと思っていたが、言うのを忘れていたこともあり

今更と思って照れくさくなってしまった。

君は微笑みながら、ありがとうと言ってくれた。


花火大会が終わってしばらくして、僕は決意した。

君に本当のことを言わないといけない、と。

これから先、君と居られないだろうから。


以前、僕が海の近くでアトリエを構えていると話したときに見てみたいと言っていたのを思い出して、夜に招くことにした。


時間通りに君はアトリエに来てくれた。

大したもてなしは出来ないけれど、お茶くらいは出そうと準備を始めた。

その間、君はアトリエの中を見ていた。


お茶を持って行った時、君が日記に手を伸ばしているのが見えて、声を掛けた。


「これは本じゃなくて、日記なんだ」と。


彼女は申し訳なさそうに手を引いた。

今から話すから、そんなに気にしないでというと

君は不思議そうな顔をしていたね。


僕の抱えているもの。

そして、これから先の未来のこと。


僕は初めて会った時の朝焼けに照らされた

淡い青のワンピース姿の、君に恋をした。



(終わり)

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