おはようとおやすみを隣で


≪詳細≫

朝、好きな人の声で起きるのっていいなぁと思いながら、書きました。

およそ10分ほどになります。


≪あらすじ≫

朝、電話で話すのが日課になっているけど、いつからだろう…


≪登場人物≫

愁斗(しゅうと):柚希のことが好き

柚希(ゆずき):愁斗のことが好き


愁斗:「柚希、おはよう」

柚希:「おはよう、愁斗。今日は早いね」


愁斗:僕たちの最近の日常

愁斗:朝、起きて電話をする。


柚希:いつからだろう。

柚希:愁斗と電話をしながら支度をするようになったのは…


愁斗:「今日、会議なんだよ」

柚希:「あぁ、言ってたね」

愁斗:「行きたくない…」

柚希:「大切なお仕事なんでしょ?頑張って」

愁斗:「うぅ…」

柚希:「今日、そっちで夕飯作って待ってるから」

愁斗:「え?いいの?」

柚希:「今日は早く帰れそうだから」

愁斗:「よし!頑張る」

柚希:「ふふっ(笑)よかった」

柚希:「そろそろ時間だね。気を付けていってらっしゃい」

愁斗:「うん。行ってくる」


柚希:ほんの些細な時間

愁斗:だけど、すごく大切な時間

柚希:朝から愁斗の声を聴くと落ち着く

愁斗:朝に柚希の声を聴くと頑張ろうって思う



【場面転換】



愁斗:仕事の移動中、今朝の柚希との約束を思い出す。

愁斗:やっぱり、好きな人と一緒に居られるのは嬉しい。

愁斗:今日のご飯、何かな?

柚希:仕事中、思っていたよりスムーズに事が進んだから夕飯のメニューを考えていた。

柚希:いつもは自分の分だけだから、手を抜くことも多いけど

柚希:誰かのために作れるというのは、やっぱり嬉しい。



愁斗:「あ、柚希からメッセージ来てる」

柚希:『お疲れ様。今日、食べたいものある?』

愁斗:『う~ん。和食?』

柚希:『和食かぁ。冷蔵庫に何か残ってたりはしない?』

愁斗:『大丈夫』

柚希:『じゃあ、買い物してから行くね』

愁斗:『どこで買い物する予定?』

柚希:『ん?最寄り駅のスーパーかなぁ?』

愁斗:『じゃあ、駅で待ち合わせにしよう』

柚希:『でも…』

愁斗:『決まり!仕事終わったら連絡する』

柚希:『分かった。私も終わったら連絡するね』


愁斗:せっかくなら、一緒に買い物して帰るほうがいいと思った。

愁斗:きっと、柚希は気を遣って、1人で買い物しようとしていたんだろうけど。


柚希:ちょっと食べたいものを聞いておこうと思っただけだったんだけど。

柚希:愁斗の優しさに嬉しくなる。


【場面転換】


愁斗:「お先に失礼します」


愁斗:一緒に買い物をするために仕事を片付けて、定時で上がる。

愁斗:周りに「いつもと違う」とか言われたけど、気にしない。


柚希:「お疲れさまでした」


柚希:予定以上に仕事がスムーズに進んで、定時で上がる。


柚希:『こっち終わったから、駅に向かうね』

愁斗:『こっちも終わったから、改札で待ち合わせにしよう』

柚希:『うん』


(少し間をあける)


愁斗:「あ、柚希!」

柚希:「あれ?愁斗の方が早かったんだ」

愁斗:「乗り換えがタイミングよかったからね」

柚希:「そうなんだ」

愁斗:「じゃあ、行こうか」

柚希:「うん」


(少し間をあける)


愁斗:「夕飯、何にするか決まったの?」

柚希:「うん。今日は肉じゃがとほうれん草のおひたしにしようかなぁって思ってる」

愁斗:「いいね」

柚希:「他に何か食べたいものあったら言ってね」

愁斗:「柚希が作ってくれるものは、何でも美味しいからなぁ」

柚希:「ふふっ(笑)ありがとう」


【場面転換】


愁斗:買い物を終えて、歩いて一緒に帰る。

愁斗:こういうのもたまにはいいなぁと思う。


柚希:食事の買い物はなかなか一緒にしないから新鮮。

柚希:愁斗のさりげない優しさに、いつも心が温かくなる。


愁斗:「柚希?どうかした?」

柚希:「ううん。たまにはいいなぁって思っただけ」

愁斗:「それは僕も思う。なんか新鮮だよね」

柚希:「うん。愁斗がお仕事頑張ってくれたおかげだね」

愁斗:「え?」

柚希:「いつも忙しくてなかなか帰れてないけど、今日は頑張って定時で上がってくれたんでしょ?」

愁斗:「…柚希が僕のために料理してくれるって言うし」

柚希:「そうだけど…でも、ありがとう」

愁斗:「なんか、恥ずかしくなってきた(小声)」

柚希:「ふふっ(笑)」


愁斗:話しているとあっという間に家に着いた。

愁斗:柚希に言われて、先にお風呂に入ることにした。


柚希:煮込む時間があるから、ゆっくり入って来てと伝えて

柚希:愁斗がお風呂に入っている間に料理を作る。


(少し間をあける)


愁斗:「上がったよ」

柚希:「あ、ご飯出来てるよ」

愁斗:「あれ?そんなに長く入ってた?」

柚希:「そんなことないと思うよ」

愁斗:「上がったら手伝おうと思ってたのに」

柚希:「その気持ちだけで嬉しいよ。ありがとう」

柚希:「すぐ食べる?」

愁斗:「うん。お腹空いた」

柚希:「じゃあ、準備するね」

愁斗:「手伝うよ」

柚希:「ありがとう」


(少し間をあける)


愁斗:「いただきます」

柚希:「いただきます」

愁斗:「あぁ、やっぱり美味い」

柚希:「それはよかった」


愁斗:柚希の料理を食べると、明日も頑張ろうって思える。

愁斗:付き合って3年…柚希はどう思ってるのかな。


柚希:最近、忙しそうでなかなか会うことが出来なかったから

柚希:ちょっとズルいかもしれないけど、会う口実を作った。

柚希:愁斗はどう思ってるんだろう…


愁斗:「ごちそうさま」

柚希:「お口に合ったようで何よりです」

愁斗:「片付けは僕がやるから、座ってて」

柚希:「え?一緒にやろうよ」

愁斗:「ううん。料理してくれたんだから」

愁斗:「あ、そういえば、柚希」

柚希:「ん?」

愁斗:「今日、泊っていく?」

柚希:「え?」

愁斗:「もう遅いし、明日休みじゃなかった?」

柚希:「あ、うん。でも、愁斗仕事でしょ?」

愁斗:「休みを取ってきた」

柚希:「え?」

愁斗:「最近、一緒に居られなかったから」

愁斗:「今日の朝、休み取った」

柚希:「…大丈夫なの?」

愁斗:「そもそも、休みが取れてなかったし、代休だから問題ないよ」

愁斗:「今日、やらなきゃいけないことも片付けてきたし」

柚希:「…」

愁斗:「僕が柚希と一緒に居たくてした事だから」

愁斗:「…嫌だった?」

柚希:「ううん!」

柚希:「嬉しいけど…なんか、申し訳なくて」

愁斗:「そんなこと思わなくていいよ」

愁斗:「だから、泊っていきなよ」

柚希:「…うん、そうする」


愁斗:寂しい思いをさせているって思っていたから

愁斗:今日、うちに料理を作りに来てくれると言ってくれた時に

愁斗:なんとしても次の日を休みにしたいって思った。

愁斗:しばらく休みが取れそうになくて、でも、声を聴きたくて

愁斗:毎日。起きた時と寝る前に通話するようにしていた。


柚希:頑張って隠していたつもりだったけど

柚希:寂しいと思っていることが伝わっていたみたい。

柚希:ある日、愁斗に『起きた時と寝る前に電話したい』と言われた時、最初は珍しいって思った。

柚希:でも、徐々に声が聴ける安心感があった。


(少し間をあける)


柚希:「愁斗、お風呂ありがとう」

愁斗:「湯加減、大丈夫だった?」

柚希:「うん」

愁斗:「それは良かった」

愁斗:「柚希、こっち来て」

柚希:「あ、うん」


【愁斗が柚希を抱きしめる】


柚希:「ん?愁斗?」

愁斗:「ごめん。寂しい思いさせて」

柚希:「っ!」

愁斗:「お互い仕事してるし、どうしても会う頻度は減るって分かってたけどさ」

愁斗:「でも、柚希と話せないの寂しくてさ」

愁斗:「柚希の声を聴きたくて電話してたら、柚希、時々、元気なかったから」

柚希:「…バレてないって思ってたのに」

愁斗:「分かるよ。好きな相手のことなんだから」

柚希:「…」

 

【愁斗が柚希の頭を撫でる】


愁斗:「ねぇ、柚希」

柚希:「ん?」

愁斗:「一緒に暮らさない?」

柚希:「え?」

愁斗:「僕は柚希と一緒に居たい」

愁斗:「電話じゃなくて、直接、おはようとおやすみを言いたい」

柚希:「愁斗…」

愁斗:「僕のわがまま、聞いてくれる?」

柚希:「…じゃない」

愁斗:「え?」

柚希:「わがままなんかじゃないよ」

愁斗:「…」


【柚希が愁斗に抱き着く】


愁斗:「っ!」

柚希:「すごく嬉しい」

柚希:「電話で声を聴けるのも嬉しかったけど、いつかもっと一緒に過ごせたらって思ってたから」

愁斗:「柚希…」


【愁斗が柚希にキスをする】

(リップ音などはお任せします)

 

愁斗:「大好き」

柚希:「私も」



(終わり) 

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