誕生色(6月ver)
≪詳細≫
月1で読めるもので誕生石のような有名なものではない何かを書きたいと思って
書きました。
およそ5分くらいになります。
人称変更可
語尾改変可
≪関連作品≫
『誕生色シリーズ』※全12話
≪あらすじ≫
ここは少し変わったお店のよう…
さて、あなたは何をお探し?
≪登場人物≫
店の店主の一人語りで、お客様目線も少しあります。
お声は変えても変えなくても大丈夫です。
絵本を読むようなイメージで読んで頂ければと思います。
≪ 色というのは、私たちにとって、様々な印象を与える欠かせないもの ≫
誕生色(たんじょうしょく)
それは、バースデーカラーとも言うが
誕生日ごとに定められたラッキーカラーのこと。
誕生石や誕生花などより、知名度はないかもしれない。
でも、ちゃんと366日すべてに決められていて、占いでも用いられる。
ここは、そんな色とそれにちなんだ物を取り扱う不思議なお店。
今月は梅雨ということで、雫型デザインの商品が多く揃います。
文字通り、雨のイメージに近いですし、少し可愛らしい印象がありますから。
その分、色見にも偏りが出やすいのが、悩みどころではありますが…
そのあたりは、こちらで、少し修正すれば問題ないので。
え?そんなことをしてもいいのか?
前にもお話した通り、店主の権限ですので、お気になさらず。
さぁ、気を取り直して、お仕事しましょうか。
お話しながら、店内を見ていて気になるお客様がいらっしゃったので。
「お客様、いらっしゃいませ。どのような商品をお探しですか?」
私がそう尋ねると、綺麗な着物を着た少しご年配の女性が、微笑みながら『孫へのプレゼントを探している』と答えた。
「お孫様に、ですか。素敵ですね。おいくつくらいの方ですか?」
社会人になったばかりで今月がお誕生月の女性ですか。
それなら、お守り代わりにパールのピアスなどがおすすめですが、ありきたり過ぎますね。
せっかく当店にお越しいただいたのですから、もっと特別なものにしたいですよね。
「…紫陽花がワンポイントで入ったハンカチなど、いかがでしょうか?」
誕生月のイメージと、ハンカチの縁を蔦のようなデザインが囲んでいて、可憐なものになるかと。
ちなみに、蔦のようなデザインに使われている色は、憧葛(あこがれかずら)という色を使用しています。
「紫陽花の可憐な雰囲気と憧葛の色合いは、梅雨の季節にぴったりかと」
憧葛?緑にも名前があるのね。とお客様は、蔦のようなデザインを手でなぞりながら、愛おしそうに見ています。
「憧葛は、雨が濡らした葛の葉の色で、色合いとしてはしっとりと濡れたような雰囲気の、静かな緑色。雨の多い季節にぴったりな色となっていますので、同じ梅雨のイメージにぴったりな紫陽花と相性もよいです」
それに、紫陽花は、実際のお花でプレゼントするには、花言葉がお祝い向きではありませんからね。
「でも、だからこそ、ご家族にプレゼントするのであれば、小物のデザインがよいと、私は思うのです。家族団らんと辛抱強さは、家族愛と会社に慣れることが大変な、社会人になら
れたばかりのお孫様へ、きっと想いを伝えることが出来るのでしょうから」
そう伝えると、お客様は、にこやかに笑って、プレゼントに買うことにしました。
お代はもちろん、いただきましたよ。
今回は、少しおまけしてしまいました。
さてさて、次は、どんな方へどんなお色にちなんだものをおすすめ出来るでしょう。
(少し間をあけて)
色にお困りの方は…そんなに多くはないかもしれませんが
ぜひ、当店をご利用くださいませ。
きっと、お役に立てると思いますよ。
何せ、最初に申し上げた通り、誕生日にも色はございますので。
出来れば、遠い未来でご利用頂きたいものですが…
誰かを一番に想う気持ちを伝える時は、思わず使ってしまうものですから。
でも、ご来店だけなら問題はありませんから、いつでもお越しくださいませ。
またのご来店、おまちしております。
(おわり)
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