繋がる想い


≪詳細≫

すれ違いを経験した2人の後日談を書きたいと思って書きました。

およそ10分くらいになります。


≪関連作品≫

すれ違いから気付く想い


≪あらすじ≫

遠距離になっていた二人がようやく、一緒に居られる。


≪登場人物≫

彼氏:彼女のことが好きだけど、遠距離で少し不安。

彼女:彼氏のことが好きだけど、遠距離で少し不安。



彼氏:僕が転勤してから二年が経ち、ようやく地元に戻れるメドが立った。

彼氏:一年前に会って以来、お互い忙しくなってしまって、またメッセージのみの日々が増えた。

彼氏:今日ようやく落ち着くことが出来て、その報告をしようと彼女に電話をする。


(少し間をあける)


彼氏:「あ、もしもし?」

彼女:「どうしたの?」

彼氏:「ちょっと報告したいことがあって」

彼女:「報告?」

彼氏:「うん。時間、大丈夫?」

彼女:「ちょっとだけ待って」

彼氏:「ごめん。忙しかった?」

彼女:「あ、違うの。さっき仕事のメドがついたから片づけたくて」

彼氏:「そうだったんだ」

彼女:「だって、いきなり電話してきたってことは大切な話でしょ?」

彼氏:「え?あ、うん」

彼女:「大切な話を聞くのに、仕事のものが目の前にあるの嫌だから」

彼氏:「そっか」

彼女:「これでよし!…お待たせ」

彼氏:「あ、終わったの?」

彼女:「うん。話しながら片付けてたから」

彼氏:「そっか…こう改まって話し出すの緊張するね」

彼女:「…悪い話?」

彼氏:「あ、ううん。いい話」

彼女:「よかった…緊張するなんて言うから悪い話なのかと思ったよ」

彼氏:「ごめん」

彼女:「ううん。いい話なら、早く聞きたい」

彼氏:「そうだよね(笑)

彼氏: えっと…来月末からそっちに戻れることになったよ」

彼女:「…」

彼氏:「あれ?聞こえてる?」

彼女:「あ、うん。聞こえてる…」

彼氏:「えっと…」

彼女:「ほんとに?」

彼氏:「え?」

彼女:「ほんとに戻ってくるの?」

彼氏:「うん、まだ仕事残ってるから、来月末までは戻れないけど」

彼女:「よかった…(小声で)」

彼氏:「え?」

彼女:「やっと、一緒に居られるんだね」

彼氏:「うん」

彼女:「最近、お互い忙しくて…またメッセージでのやり取りが多くなってたじゃない?」

彼氏:「そうだね」

彼女:「前みたいに、すれ違っちゃうんじゃないかって…最近、不安だったから」

彼氏:「うん…」

彼女:「あ、ごめん。こんなこと言ったらダメだよね」

彼氏:「え?あ、違うんだ」

彼女:「え?」

彼氏:「僕も同じことを思っていたから」

彼女:「そうなの?」

彼氏:「うん。だから、なんというか…」

彼女:「ふふっ(笑)」

彼氏:「え?なんで笑ったの?」

彼女:「あ、ごめん(笑)可愛いなぁって」

彼氏:「可愛いかなぁ?」

彼女:「うん。あと、嬉しかった」

彼氏:「…そっか(照)それならよかった」

彼女:「あ、ごめん。話が脱線しすぎたね」

彼氏:「ううん、大丈夫。

彼氏: 伝えたかったことは伝えられたし」

彼女:「そっか」

彼氏:「あぁ、やっぱり、こうして話してると会いたくなる!」

彼女:「そうだね。私も早く帰って来てほしいよ」

彼氏:「あ、それ」

彼女:「ん?それ?」

彼氏:「『早く帰ってきてほしい』って言われると、寂しさもあるんだけど嬉しさもあるんだよなぁ」

彼女:「寂しさもあるの?」

彼氏:「何となく」

彼女:「そっか。でも、嬉しさもあるんだよね?」

彼氏:「うん。帰る場所があるって気持ちになるから」

彼女:「そっか。なら、よかった」

彼氏:「あ、そうだ」


彼氏:僕は彼女に1つ提案をした。


少し間をあける


彼氏:「ふぅ」

彼女:「帰ってきて早々、ため息?」

彼氏:「ため息じゃなくて深呼吸」

彼女:「なんで?」

彼氏:「今日から生活が変わるから」

彼女:「それはそうだと思うけど」

彼氏:「これでも緊張してるんだよ」

彼女:「私は楽しみの方が大きいけどね」

彼氏:「…」

彼女:「ん?どうかした?」

彼氏:「はぁ〜」

彼女:「え?何でため息?」

彼氏:「ため息もつきたくなるよ」

彼女:「だから、なんでって…わぁっ!」

彼氏:「嬉しいことをさらっと言われたからだよ(小声)」

彼女:「だからって、急に抱きつかないでよ」

彼氏:「…嫌だった?」

彼女:「そうじゃないけど…恥ずかしい」

彼氏:「(笑)可愛い」

彼女:「もう…」

彼氏:「ごめん(笑)」

彼女:「全然悪いと思ってないでしょ?」

彼氏:「そんなことないよ」


彼氏:本心はちょっと悪いなぁと思っているけど、久しぶりに会って彼女がそばに居ると確かめたかった。

彼氏:もう少し抱きしめておきたかったけど、これ以上は怒られそうだから、そっと離れる。

彼氏:そんなことを思っていると、彼女がポツリと呟く。


彼女:「…まぁ、いっか」

彼氏:「ん?」

彼女:「これから一緒に居られる…

彼女: それだけで今はいいやって思って」

彼氏:「ほんと、君って人は…

彼氏: うん。僕ももうあんな思いはしたくないから、次は一緒に連れていくことにするよ」

彼女:「え?」

彼氏:「来てくれるよね?」

彼女:「うん、今度は一緒に行く」

彼氏:「よかった」


彼女:少しだけ前を歩いている彼が安堵しているのを感じながら、声をかけた。


彼女:「ねぇ」

彼氏:「ん?…わぁ!」

彼女:「お返し(いたずらっぽく)」

彼氏:「そういうとこ、好きだよ」

彼女:「滅多にやらないけどね(苦笑)」

彼氏:「だから、いいんだよ(笑)」

彼女:「そういうもの?」

彼氏:「そういうもの!」

彼女:「そっか」


彼女:彼とこんな風に話しながら歩けるのが、凄く幸せ。

彼女:この日々は当たり前じゃないと知っているから、大切にしたいと思った。


彼氏:僕達はこれからどこまでも一緒に歩んでいく。

彼氏:そして、彼女を大切にすると強く思った。



(終わり)

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