結び雨、空に翔る(完結)
≪詳細≫
梅雨のイメージで書きました。
およそ15分くらいになります。
≪関連作品≫
≪あらすじ≫
雨の日に出逢い、惹かれた二人のお話
≪登場人物≫
結雨(ゆう):雨の日に出逢った翔に惹かれた
翔(かける):雨の日に出逢った結雨に惹かれた
結雨:翔と知り合って半年。
結雨:あの雨の日以来、頻繁に会うようになっていた。
結雨:今日も翔から誘われて、初めて連れて行ってもらったお店へ向かう。
結雨:いつもと違って緊張している自分を落ち着かせながら。
翔:結雨と知り合って半年。
翔:彼女の笑顔や話し方、会うたびに惹かれていった。
翔:そして、今日は僕のお気に入りのお店で待ち合わせをしている。
翔:彼女が来たら僕の想いを伝えよう。
翔:待ちながら、深呼吸して
翔:気持ちを落ち着かせる。
結雨:「ごめん!待たせた?」
翔:「いや、今来たところ」
結雨:「よかった」
結雨:「仕事が思ったより、掛かっちゃって」
翔:「相変わらず、大変そうだね」
結雨:「まぁね(苦笑)」
翔:「注文は?」
結雨:「今日は紅茶にしようかな」
翔:「ストレートでいいの?」
結雨:「うん」
翔:結雨の飲み物を注文し
翔:しばらく、他愛ない話をした。
翔:飲み物が届いて、しばらくはいつものように話して
翔:まったりと過ごした。
翔:そして…意を決して言おうとした。
翔:でも、上手く言葉が出なくて…
結雨:しばらく他愛ない話をしていた時に
結雨:翔が何か言いたそうにしていた。
結雨:でも、言い淀んでいるのが分かる。
結雨:だから、先に話をしようと思った。
結雨:「あの…さ」
翔:「ん?」
結雨:「先に話してもいい?」
翔:「あ、うん」
結雨:「私ね…翔のことが好き」
翔:「え?」
結雨:「今日、絶対に翔に伝えようって思ってたの」
翔:「え…」
結雨:「急すぎるのは、分かってる」
結雨:「でも、最近ずっと翔のことを考えてることが多くて。
結雨:『あぁ、翔のこと好きなんだ』って思ったら、伝えなきゃって…」
翔:「結雨…そっか」
結雨:「翔?」
翔:「僕も、結雨と同じことを思ってたんだ」
結雨:「え?」
翔:「でも、僕は勇気が出せなくて言えなかった」
翔:「はぁ〜。まさか先を越されると思わなかったな」
結雨:「そっか…じゃあ」
翔:「うん」
翔:「僕も結雨が好き」
翔:「僕と付き合ってください」
翔:結雨が、同じ想いでいると思わなかった。
翔:両想いだって分かって嬉しくて
翔:ちょっとズルいなぁと思いつつ
翔:告白してしまった。
結雨:翔が、同じ想いでいると思わなかったけど
結雨:すごく嬉しかった。
結雨:だから、告白されてすぐに返事をした。
結雨:「こちらこそ、よろしくお願いします」
翔:「結雨、ありがとう」
翔:「でも、結雨は何がきっかけで、僕の事好きになったの?」
結雨:「ん?それは…翔のを聞いてからにしようかな?」
翔:「えぇ~。僕の?」
結雨:「うん。告白は翔からではなかったから?(笑)」
翔:「確かに(苦笑)」
翔:「僕は…結雨の笑顔とか話し方とかに惹かれたからかな」
翔:「多分、初めて会った時から惹かれてたんだと思う」
結雨:「そうなの?」
翔:「うん」
翔:「それから会えば会うほど実感して…
翔: 今日、出会って半年だし、思い切って想いを伝えようって」
結雨:「でも、私が先に言っちゃった…と」
翔:「そう」
翔:「本当にびっくりした」
結雨:「そっか」
翔:「結雨は…僕のどこがよかったの?」
結雨:「う~ん。きっかけは、このお店かな?」
翔:「この店?」
結雨:「うん。出会ってからしばらく経って
結雨: ここが、バーの時間帯に初めて来た時に初めて一緒に
結雨: お酒を飲んだじゃない?」
翔:「あぁ、そうだね」
結雨:「その時の翔がかっこよくて…」
翔:「えっ?そうなの?」
結雨:「うん…なんていうのかな?
結雨: バーの常連の人って、大人でかっこいいっていうか」
翔:「それ…僕じゃなくてもよかったんじゃ…」
結雨:「違うよ。普段の抜けた感じとのギャップなのかな?」
結雨:「とにかく!私にはかっこよく見えたの」
翔:「…(照れ)」
結雨:「それからは、普段会ってる時も
結雨:ちょっとした仕草とかでドキドキしたり
結雨: 会えない時も翔のこと考えてて…」
翔:「(照れ)そっか、ありがとう」
(三年後)
翔:出会った日から
翔:今日で三年が経った。
翔:相変わらず
翔:僕は少し抜けている所もあるけど
翔:毎日、結雨と楽しく生活している。
翔:そして、僕は今日
翔:結雨にサプライズをしようと
翔:思い出の店で
翔:待ち合わせをしている。
結雨:今日、久しぶりに翔から
結雨:『思い出の店で食事をしないか?』
結雨:と連絡があった。
結雨:今日で出会って三年。
結雨:翔の考えてることは
結雨:何となく分かってる。
結雨:でも、今回は翔の言葉を聞くって
結雨:決めている。
(待ち合わせしているお店)
翔:「結雨、こっち」
結雨:「あ、ごめんね。遅くなって」
翔:「大丈夫。適当に頼んじゃったけど」
結雨:「うん。ここ、翔の選択で外れたことないから
結雨: 大丈夫でしょ」
翔:「だといいけど(苦笑)」
結雨:「でも、ここに来るの久しぶりだね」
翔:「うん。一緒に住むようになってからは
翔: 結雨が料理をしてくれるから外食が減ったしね」
結雨:「そうだね」
翔:しばらくして
翔:料理とお酒が運ばれてきた。
翔:「いただきます」
結雨:「いただきます」
翔:「やっぱり、ここのは美味い」
結雨:「うん。お酒にも合うし」
翔:「結雨、ここの料理もお酒も好きだよね」
結雨:「美味しいからね」
結雨:「でも、一番好きなのは…」
翔:「デザートのチーズケーキでしょ?(笑)」
結雨:「うん!マスターのお手製なのもあって
結雨: こだわってて、美味しいから」
翔:「コーヒーでもお酒でも合うから、不思議だよなぁ」
結雨:「本当にね」
翔:そんな他愛ない話をしながら
翔:食事をしばらく楽しんだ。
翔:そして、結雨の好きなデザートが
翔:運ばれて来た時…
翔:「結雨」
結雨:「ん?」
翔:「僕と結婚してください!」
結雨:「はい、よろしくお願いします」
翔:「あぁ…やっぱり…(苦笑)」
結雨:「(笑)」
翔:「結雨にサプライズなんて出来る気がしない(苦笑)」
結雨:「今日は記念日だからね。
結雨: 違う日だったら、思わなかったかも」
翔:「本当に?」
結雨:「うん。ここのお店
結雨: 久しぶりに行きたいなぁって、思ってたから」
翔:「そっか。でも、よかった」
結雨:「何が?」
翔:「サプライズは失敗したけど
翔: 結雨に、ちゃんとプロポーズ出来たし」
結雨:「(笑)そうだね」
翔:「あ、笑うなよ!」
結雨:「ごめん(笑)」
翔:やっぱり、結雨には敵わないなぁと
翔:思いつつ、彼女の笑顔を見れて
翔:僕は嬉しくなった。
翔:「結雨」
結雨:「何?」
翔:「好きだよ」
結雨:「ありがとう(照れ)」
(半年後)
翔:プロポーズしてから半年
翔:付き合ってから、ちょうど三年が経った。
翔:今日は結婚式。
翔:彼女が父親と一緒に歩いてくる。
翔:その姿が綺麗で、見惚れていた。
結雨:父とバージンロードを歩きながら
結雨:翔を見ると少し、照れていた。
結雨:その顔を見たら、このドレスにして
結雨:よかったと改めて思った。
翔:「結雨、綺麗だよ」
結雨:「ありがとう。
結雨: 翔が選んだものだから、外れはないよ」
翔:「…(照れ)」
結雨:「あ、照れた(笑)」
翔:僕は照れ隠しで、彼女を抱きしめた。
結雨:「えっ?翔?」
(翔、結雨にキスをする)
※ここはアドリブでお任せします
翔:驚いている彼女のことが、可愛いと思った。
翔:だから、不意打ちでキスをした。
結雨:相変わらず、翔は思ったままに行動する。
結雨:照れ隠しなのも分かってはいる。
結雨:でも、不意打ちは
結雨:やっぱり慣れないなぁと思いつつ…
結雨:「そういう所、好きだよ」
翔:「うるさい(照れ)」
結雨:「(笑)」
翔:「…結雨」
結雨:「ん?」
翔:「僕は愛してるから」
結雨:「(照れ)ありがとう」
翔:やっぱり、彼女の笑顔が好きだなと改めて思った。
(四年後)
結雨:結婚して四年が経った。
結雨:幸せなことに家族が増えた。
結雨:私たちにとって、かけがえのない宝物。
翔:結雨から子供を授かったと
翔:知らされた時、本当に嬉しかった。
翔:結雨だけじゃなく
翔:この子たちのことも
翔:守っていくんだと強く思った。
結雨:「あ、結空(ゆら)、翔空(とあ)
結雨: あまり遠くに行ったら、ダメだよ?」
結雨:そう声を掛けると
結雨:元気のいい返事が返ってきた。
翔:「本当に二人とも元気だなぁ」
結雨:「いいことだよ」
結雨:「翔に似て、自由だし?」
翔:「それを言ったら結雨に似て、人見知りとか全然しないけどね」
結雨:「そうだね(笑)」
翔:結婚してしばらくして、女の子を授かった。
翔:名前を決める時
翔:二人とも共通していたのは
翔:『空』という漢字を入れたい、だった。
翔:そして、結雨の名前の
翔:一文字でもある『結(むすぶ)』と
翔:合わせて『結空(ゆら)』
翔:名前の由来は
翔:『人と人との結びつきを大切に
翔: 空のように広く大きな澄み切った
翔: 心の持ち主になるように』
結雨:結空が生まれてしばらくして
結雨:今度は男の子を授かった。
結雨:やっぱり『空』という字は外せないってなった。
結雨:そして、『翔(かける)』の字と
結雨:組み合わせて
結雨:『翔空(とあ)』と名付けた。
結雨:名前の由来は
結雨:『自由にのびのびと
結雨: 空を翔るような子に育つように』
翔:あの雨の日に君に出会えて
翔:本当によかった。
(終わり)
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