春夏秋冬(春)


≪詳細≫

このシナリオは1人読みのシリーズものです。

およそ5分ほどとなっております。

続編は『


≪あらすじ≫

季節ごとに四季を知らない旅人が巡りいろいろなことを知っていくお話。

『季節は巡る』

新たな気づきがあるかもしれません。


≪登場人物≫

旅人:四季を知らずに、四季の国へと迷い込む者。

配役のない文章も読んでください。

※配役のない文章は、ナレーション風に読むことを推奨します。


<春>  


これはとある、四季を知らない人が四季を巡る旅の物語。


旅人:「一体ここは何処だ?私は真っ暗な世界に居たはずなのに」

旅人:そう思って聞こうにも周りには人が居らず、誰も答えてはくれない。

旅人:しかし、ここは私の居た場所ではない。それは明白だ。 

旅人:なぜなら、目の前に緑の葉が生い茂り、花が咲き、ポカポカとした陽気が漂っているからだ。 

旅人:これはあの世界では、見ることも感じることも出来ない。


そんなことを思いながら、旅人はとりあえず、辺りを散策して状況判断することにした。

好奇心旺盛な性格なのか、見知らぬ土地だからと、じっとしては居られなかったのだ。

そしてふと目に入った葉や花に興味を持った。


旅人:「折角だから、この生い茂っている葉の、綺麗に咲きほこる花の香りを嗅いでみよう」


旅人は葉に触れ、花の香りを嗅いだ。


旅人:「あぁ、やはりいい香りだ」

旅人:元々居たところでは、体験出来ないことが出来ている。

旅人:もっとこの世界が知りたい。

旅人:そう思ったら、身体が動いた。

旅人:しばらく歩き回ると、少し前を人が歩いていた。

旅人:ここがどこか知れると思って、前を歩く人に尋ねる。

旅人:その人は答えてくれた。ただ一言。

旅人:「四季の国だ」と。 

旅人:「四季の国?どんな所なんだ、それは。」


聞き馴染みのない言葉に、旅人は質問を重ねる。

「四季とはなんだ?」と。


旅人:相手は知らないのか?と言いたそうな顔だっだが、親切なのだろう。

旅人:「四季、つまり春夏秋冬だよ」と答えた。 

旅人:それでも私には分からなかった。

旅人:元々いた所は、真っ暗で何も見えず、ずっと同じ気候だったからだ。 

旅人:疑問に思っていると、相手はさらに細かく教えてくれた。 

旅人:「春は今の季節。こんな風に草木が生い茂り、花が咲く」

旅人:「夏は気温が上がり、桜の花が散り、葉に覆われる」

旅人:「秋は葉が色づき、少し肌寒い。冬は葉が散り、雪が降り、かなり寒い」と。


旅人は興味を持った。

全ての季節を見てみたいと思った。 


旅人:どうすればいいかと、相手に尋ねると

旅人:「一年を過ごすしかない。自然に起きることだから」と教えてくれた。 


そうなのか。では旅を続けよう。

旅人は相手に礼を言って別れた。


旅人:別れ際、その人は

旅人:「また桜の季節に会おう。こうやって人の輪が広がるんだ」と教えてくれた。


きっと旅の途中、色々な人に出会えるのだろう。

次は夏を目指して、歩き始める。


旅人:知らない場所だから、目的地なんてものはない。

旅人:ただひたすらに歩きながら、木々や花、生き物たちを観察しながら歩く。 

旅人:これからやって来る夏を想像しながら。


(夏へ)

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