時を繋ぐ想い
≪詳細≫
『法螺貝』をテーマにした企画参加で書きました。
およそ10分くらいになります。
※人称変更〇、語尾変更〇
≪あらすじ≫
戦国時代の約束は後世へと受け継がれ、現代へと。
1つの法螺貝がきっかけで繋がる奇跡。
≪登場人物≫
□:戦国時代を生き抜こうとした男性。
現代では女性の彼氏。
■:戦国時代を想い人を待ちながら過ごした女性。
現代では男性の彼女。
□:どうして、こんな時代に生まれたのだろう
■:どうして、こんな時代に生まれてしまったのでしょう
□:「…行ってくる」
■:「どうか、ご無事で…」
■:このやり取りを何回もしている。
■:今は戦国時代。
■:戦(いくさ)が起きるたびに
■:あの人は呼ばれ、行ってしまう。
□:ただの役人だったはずなのに
□:気付けば、戦に出る毎日。
□:大切な者との未来のためとはいえ、やはり辛い。
■:もう何度目になるか分からない招集の日。
■:あなたは私に置き土産をした。
■:『これを自分の代わりにしてくれ』と言わんばかりの
■:あなたが戦場(いくさば)で吹いているという法螺貝(ホラガイ)
■:「まるで、最後みたいじゃありませんか」
□:「それは壊れてしまったが、お前のいる所が戻る場所だと思うために、預けるんだ」
□:「決して、形見としてではない」
■:「…信じています」
□:「あぁ…行ってくる」
■:「どうか、ご無事で…」
□:彼女と約束を交わし
□:新たな法螺貝を胸元にしまい
□:戦場(いくさば)へ向かう。
■:託された法螺貝を抱きしめながら
■:あなたの帰りを待つ…。
□:自分の願いも込めて
□:届くようにと、法螺貝を吹いた。
□:ぼぉぉぉぉ
(※ここは読んでも読まなくても大丈夫です)
■:遠くで聞こえる法螺貝の音
■:いつもは不安なのに
■:あなたが近くに居るような気がした。
(少し間をあける)
【現代】
■:親戚の家で見つけた
■:少し高価そうな箱
■:中には少しヒビの入った法螺貝が入っていた。
□:「それ、どうしたの?」
■:「親戚の家に行った時に見つけたんだけど
■: 何だかすごく気になって…譲り受けてきたの」
□:「へぇ。結構、年季入ってるね」
■:「戦国時代のものだって」
□:「え?すごいね」
■:「うん…」
□:「どうしたの?」
■:「一緒に手紙が入っててね」
□:「うん」
■:「この法螺貝を貰った人もあげた人も
■: お互いのことをすごく大切に思ってたっていうのが伝わって…」
■:「なんだろう…切ないけど温かいというか」
□:「そうだね。僕達も、その人たちみたいになりたいね」
■:「うん」
□:「…あのさ」
■:「ん?」
□:「君のご先祖さまの素敵な思い出を聞いた後に、言うことになるとは思ってなかったんだけど…」
■:「え?」
□:「僕と結婚してください」
■:「え…」
□:「…返事は(急がないから)」
■:「(さえぎって)ほんとに?」
□:「え?」
■:「私でいいの?」
□:「君がいいんだよ」
■:「…ありがとう」
■:「よろしくお願いします」
□、■を抱きしめる
□:「ずっと大切に思ってるし、これからも変わらないから」
■:「うん」
【後日談】
□:「そういえば…」
■:「どうしたの?」
□:「この間、実家に帰ったら、ご先祖さまのものだってやつがあってさ」
■:「うん」
□:「気になって中身を見たんだよ」
■:「何が入ってたの?」
□:「かんざし」
□:「それでさ…」
■:「ん?」
□:「一緒に手紙…メッセージ…
□: いや…メモか。それが添えられててさ」
■:「うん」
□:「“このかんざしを、次に戻った時に君に渡して、ヒビの入った法螺貝と交換する”って」
■:「え?それって…」
□:「もしかしたら、僕たちは…」
(終わり)
加筆修正:2024/10/11
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