幼馴染は心配性~ 社会人編 ~


≪詳細≫

何となくで書こうと思ったお話のコンセプトがマッチして出来たお話。

およそ15分くらいになります。


≪関連作品≫

幼馴染は心配性~ 高校生編 ~


≪あらすじ≫

高校生から社会人になっても、心配性は変わらない隼。

雪を喜ばせたくて行くことにした遊園地で…


≪登場人物≫

隼:雪の恋人、心配性。

雪:隼の恋人、頼ることを少しずつ頑張っている。



隼:幼馴染の雪と付き合うようになって数年が経った。

隼:相変わらず、無茶していることもあるけど、前よりは言うようになったと思う。


雪:隼と付き合うようになって、少しずつ甘えられるようにはなったと思う。

雪:それでも、まだ心配は掛けているのだろうけど。


【雪の家】


隼:「雪、最近仕事はどう?」

雪:「忙しいけど、定時にはあがれてるから大丈夫だよ」

隼:「そっか」

雪:「隼のほうこそ、どうなの?」

隼:「こっちも同じような感じかな?忙しいけど、何とかなってる」

雪:「隼、人の心配ばかりしてないで、自分のこともちゃんと気遣ってあげてね?」

隼:「ん?」

雪:「昔から人の心配ばっかりして、自分のことは後回しじゃない」

隼:「雪には言われたくないけどな」

雪:「私はこうして、甘えているからいいの」


【雪が隼に抱き着く】


隼:「!…それ、甘えてるのか?」

雪:「私は甘えてるつもり」

隼:「…そっか」

雪:「何か、ご不満?」

隼:「不満とかじゃないよ。

隼: ただ、雪が甘えられるようになったのはいいことだと思っただけ」


【雪が隼からそっと離れる】


雪:「ねぇ」

隼:「ん?」

雪:「付き合った日にした約束、覚えてる?」

隼:「約束?」

雪:「私が隼を頼るようになったら、隼も私を頼るって約束したでしょ?」

隼:「あぁ…それなら、もうしてるよ」

雪:「え?」

隼:「こうして、お前の家に遊びに来て、のんびり出来ること」

雪:「それって、頼ってる?」

隼:「俺としては頼ってる。俺の癒される空間を作ってくれてるってことだろ?」

雪:「う~ん、多分?」

隼:「とにかく…雪と居られればそれでいいんだよ」

雪:「なんか、誤魔化されている気がする」

隼:「そんなことないって」

雪:「なら、いいんだけど」

隼:「あ、そうだ」

雪:「ん?」

隼:「ようやく、決まったから。これ住所な」

雪:「あ、来月から一人暮らし出来るようになるんだっけ?」

隼:「あぁ。ここからも近いところにしたから、いつでも遊びに来な」

雪:「…職場からは遠くない?」

隼:「大丈夫だよ。雪が職場に行くのと時間は変わらないから」

雪:「そっか」

隼:「それに、俺が雪の家の近くに住みたかったんだ」

雪:「なんで?」

隼:「近ければ行き来しやすくなるから、気にせず遊びに来れるし」

雪:「そっか」

隼:「俺としては、第一優先は雪とのことだから」

雪:「隼…」


隼:これは本音だ。

隼:雪と付き合えることになったあの日から、その気持ちは強くなった。


雪:何を心配してるのかな…

雪:でも、優しさからのものだと知っているし、その気持ちにいつも救われている。

雪:隼と離ればなれになることなんて、私には考えられないのに。 


隼:「あ、あと…これ」

雪:「ん?」

隼:「この前話してた遊園地のチケット」

雪:「あ、買えたんだ」

隼:「少し先になっちゃうけどな」

雪:「いいんだよ。一緒に行ければいつでもよかったし」

隼:「にしても、遊園地なんて何年ぶりだろ」

雪:「う~ん、付き合ってから何回か行ったけど…」

隼:「数年ぶりって感じか」

雪:「そうだね」

隼:「最近、なかなか遠出してる時間なかったし、いい機会だな」

雪:「うん。楽しみだね」

隼:「そうだな」


【場面転換】


隼:無事に引っ越しを終えて、デートの約束の日。

隼:雪を迎えに行く。


雪:「おはよう、隼」

隼:「おはよう。家の中で待ってていいって言ったのに」

雪:「楽しみだったし、出迎えたかったし」

隼:「そっか。じゃあ、行くか」

雪:「うん」


【車内】


隼:「気を付けるけど、酔いそうって思ったら教えろよ?」

雪:「分かってるよ。でも、隼の運転で酔ったことないから大丈夫だよ」

隼:「まぁ、昔から見てるからな」

雪:「小さい頃は特にダメだったからね(苦笑)」

隼:「家族ぐるみの旅行とか行くと、必ず着くころには具合悪くなってたもんな」

雪:「うん。だから、家族旅行ってあまり好きじゃなかった(苦笑)」

隼:「俺は好きだったけどな」

雪:「隼は楽しんでたもんね」

隼:「色んな所に連れて行ってもらえるのが好きだったからなぁ」

隼:「あと…」

雪:「あと?」

隼:「お前のことが好きだって思うようになってからは

隼: 一緒に出掛けられるっていうのが嬉しかったから」

雪:「…」

隼:「なんだよ?」

雪:「ううん。ちょっと気恥ずかしいなぁと」

隼:「…確かに(照)」

雪:「あ、隼が照れてる(笑)」

隼:「うるさい」

雪:「ふふっ」


隼:雪の笑顔を見ると気恥ずかしさも忘れる。

隼:少し誤魔化したけど、本当は普段しっかりしている雪が

隼:旅行に行くとき、少し弱っているのが可愛いと思っていた。

隼:本人に言ったら怒られそうだから、心の中に秘めておこうと思っているけど。


雪:昔の思い出もすべてこうして共有できるのは嬉しい。

雪:当時は絶対に車酔いをするから、好きじゃなかったけど…

雪:本当は体調が回復するまで傍に居てくれる隼の優しさが嬉しくて

雪:少しだけ旅行が好きになっていた。

 

【遊園地】


隼:「やっと、着いたな」

雪:「運転、お疲れさまでした」

隼:「意外と時間かかったなぁ」

雪:「予想より混んでたもんね」

隼:「まぁ、話しながらだとあっという間だったけど」

雪:「そうだね」

隼:「さて…どこから遊ぶかな」

雪:「隼のことだから、決めてるんじゃないの?」

隼:「まぁな!」

雪:「お任せするよ」

隼:「お、言ったな?」

雪:「え?」

隼:「よし、行くぞ」

雪:「…嫌な予感がする」


隼:遊園地にきたら、行きたいところがある。

隼:でも、まずは定番のジェットコースターに。


雪:隼の行きたい所についていくことにしたのはいいけど…

雪:あの企んでる感じが少し気になった。

雪:でも、今のところはジェットコースターをいくつか乗ってるだけ。

雪:気のせいだったかなぁ。


隼:「雪、次はここ」

雪:「ここって…」

隼:「前にも一緒に来たことあるだろ?」

雪:「あるけど…」

隼:「大丈夫。絶対、手を離さないから」

雪:「…絶対だよ?」

隼:「あぁ」


雪:嫌な予感が的中した…

雪:ホラー系の映画とかは平気だけど、お化け屋敷だけはどうしても苦手…

雪:でも、隼はすごく好きなんだよね。


隼:雪はお化け屋敷が昔から苦手。

隼:この後に誘おうと思っている所に行く前に

隼:少し気持ちを落ち着かせたくて、わざとここに行くことにした。

隼:彼女の可愛いところを見ておかないと、気持ちが揺らぎそうだから…


雪:「…」

隼:「大丈夫だって」

雪:「絶対離さないでね?」

隼:「分かってるって」

雪:「…」

隼:「雪、腕掴むなよ。足元見えないから危ないだろ?」

雪:「…ごめん」

隼:「いや…俺の方こそ、ごめんな?」

雪:「ううん。隼の好きなもの、一緒に楽しみたいから」

隼:「ありがとう。でも、少し急いで出ようか」

雪:「え?」

隼:「雪の可愛い所をもう少し見たいとも思うけど

隼: いつまでも震えさせておきたくないしな」

雪:「…ありがと」


(少し間をあける)


隼:「雪、大丈夫か?」

雪:「うん…」

隼:「ごめんな」


【隼が雪を抱きしめる】


雪:「隼?」

隼:「まだ、震えてたから」

雪:「…」

隼:「怖い思いさせたよな」

雪:「確かに怖かったけど…

雪: 中でも言ったけど、隼の好きなものを一緒に楽しみたいって思ったの」

隼:「雪…」

雪:「だから、そんなに落ち込まないで?」

隼:「…俺が慰めなきゃって思ったのに、慰められてるし」

雪:「隼は心配しすぎなんだよ」

隼:「そうか?」

雪:「うん。大人になっても心配かけてる私がいけないんだけど」

隼:「大切だから、心配なんだ」

雪:「分かってるよ。だけど、苦手なことも隼と一緒なら大丈夫だから」

隼:「…そうだな」


【雪が隼から離れる】


雪:「ありがとう。もう大丈夫だから、次のアトラクション行こう?」

隼:「あぁ…そろそろ頃合いだしな」

雪:「ん?」

隼:「何でもない。行こう」

雪:「うん」


(少し間をあける)


隼:「次はここ」

雪:「え?観覧車?」

隼:「そう」

雪:「珍しいね」

隼:「まぁな」


【観覧車】


隼:「いい景色だな」

雪:「そうだね」

隼:「なぁ、雪」

雪:「ん?」

隼:「今日は楽しめたか?」

雪:「ふふっ」

隼:「なんだよ…」

雪:「まだ、気にしてるの?」

隼:「…」

雪:「隼のそういう優しいところ、好きだよ」

隼:「…こういう時は素直だよな」

雪:「え?」


【隼が雪の隣に移動して、抱きしめる】


雪:「隼?」

隼:「雪、好きだ」

雪:「…」


【隼が雪から少し離れる】


隼:「雪?」

雪:「ねぇ、隼」

隼:「ん?」

雪:「顔を見て言ってほしいなぁ」

隼:「それは…」

雪:「ダメ?」

隼:「…よし!」


隼:「雪が好きだ。これからもずっと変わらない」

雪:「私も、隼が大好きだよ」

隼:「ほんとに、お前は…」


【隼が雪にキスをする】

※リップ音などはお任せ


雪:「っ!」

隼:「お返しだ」

雪:「まったく…負けず嫌いなんだから」

隼:「やられっぱなしは性に合わないんだよ」

雪:「そういうところも好きだよ」

隼:「そっか」


隼:俺のことを好きだと言った

隼:雪の笑顔に改めて惚れたことは秘密。



(終わり)

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